日本介護支援協会

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会長挨拶

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2025年 地域包括ケア構築に向けた再点検を

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介護保険サービスの公定価格である介護報酬は3年に一度見直され、平成30年度改定は全体で0.54%の引き上げとなりました。前回(平成27年度)から6年ぶりのプラス改定を実現したことになります。まだ、施設系と在宅系の配分率が見えてきませんが、6年前の平成24年は+1.2%で、居宅・地域系+1.0%、施設系+0.2%でした。一見、施設系のパーセンテージが低いように思われますが、平成29年度の利用見通しにおける実際のサービス利用者552万人(在宅・地域系83.3%、施設系6.7%)に対する介護給付費9兆0265億円(在宅・地域密着系67.2%、施設系32.8%)のバランスをみれば、施設系の利用コストは大きな比重を占めています。さらに施設の中でも、特養ホームは53.6%と大半を占めています。この数値は介護保険当初よりも大きく減少していますが、介護保険財政における特養ホームの影響は決して少なくないのです。常に介護報酬改定のターゲットであり続けたことも当然ではあります。

このことの是非を論じても始まりません。重要なことは、特養ホームがいかに介護保険制度・サービス全体の中で機能していくかです。特養ホームの経営主体は社会福祉法人であり、その殆どがデイサービスやショートステイ、居宅介護支援事業所を併設、さらに訪問介護・看護等も積極的に地域展開しています。まさに、地域包括ケアの拠点として機能しているのです。

今回の介護報酬改定では、団塊世代が75歳以上となる2025年に向けて、国民一人ひとりが状態に応じた適切なサービスを受けられるよう、①地域包括ケアシステムの推進(中重度の要介護者も含め、どこに住んでいても適切な医療・介護サービスを切れ目なく受けることができる体制を整備)、②自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現(介護保険の理念や目的を踏まえ、安心・安全で、自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスを実現)などが基本的考え方として謳われています。

これを特養ホーム等の議論でみると、「地域包括ケアシステムの推進」として特養ホーム入所者の医療ニーズへの対応、医療・介護の役割分担と連携の一層の推進、認知症の人への対応の強化、地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進、「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」では、通所介護における心身機能の維持に係るアウトカム評価の導入、褥瘡の発生予防のための管理や排泄に介護を要する利用者への支援に対する評価の新設、身体的拘束等の適正化の推進、がいわれています。

今回は、6年に一度の介護・医療報酬同時改定にあたり、文字通り2025年・地域包括ケアシステムに向けた「仕上げの改定」ともいえるのです。いわゆる「団塊世代」がすべて75歳以上となる2025年に焦点を当てた改革の仕上げにきています。自宅等で訪問診療を受ける人も現在の約70万人から100万人超となり、年間死亡者も約130万人から150万人へと「多死社会」の時代が到来します。自宅で亡くなる方は減少の一途ですが、医療機関での死亡から特養ホーム等の介護施設へと移りつつあります。診療報酬改定でも今回は本体+0.55%とし、病院・診療所間の機能分化やかかりつけ医の普及を進め、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入などにより在宅医療を強化する方向を打ち出しています。

65歳以上の人口でみれば2042年に3,878万人でピークを迎え、その後は減少に転じます。私たち介護領域でみれば、これが約10年スライドした80~90歳以上がターゲットとなり、要介護状態のピークは2035年前後からの10年程度となります。そのように考えれば、現在進んでいる2025年に向けた地域包括ケアの構築は、2035年に向けた基盤整備となるものです。

最近は、「2035年問題」を論じる傾向が強まっていますが、改めて2025年に焦点を当てた地域包括ケアシステムの構築を検証していかなければ、その先の展望は見えてきません。この数年来の政策キーワードは、地域包括ケアです。在宅介護、在宅医療、地域での障害者自立支援、子育て支援、生活困窮者支援等々、すべてが施設収容主義からの脱却、住民も巻き込んだ地域包括ケアの流れです。個々の地域、施設を取り巻く環境は千差万別です。1000の地域があれば1000の地域包括ケアがあるといってもいいでしょう。

私たちは、その実践を交換することで、さらに地域の期待に応えられる機能を発揮していかねばなりません。それこそが、全国ネットワーク組織の強味ではないでしょうか。「新生 日本介護支援協会」が、その先駆けとなるように新年を期してお約束いたします。

皆さまとともに、より良いサービスの構築をめざしましょう。

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